I'm The Biggest Thing in the Ocean でっかいイカくんものがたり

 いつだっただろう。息子が生物の時間にイカの解剖をやったとかで、イカに夢中になっていたときがある。その先生は釣りが大好きで、当日の実験用イカもピュージェット湾で釣ってきたのだそうだ。残ったイカをどうやって調理したかは知らないが生徒たちに振舞ってくれたそうで、息子がいたく感動していた。*1海洋学者になりたい」などと言い出すぐらいだったから、イカと先生にだいぶ魅せられた様子。で、帰宅するとインターネットでイカのことを(息子のことなので調べるというよりは)、グーグル・イメージで眺めていたりもした。その中のひとつに巨大イカの写真があり、これには娘やわたしもとりこになる。本当に巨大! 人間の体長なんていうものじゃないことが、よくわかった。
 というわけで、大イカが主人公の絵本『I'm the Biggest Thing in the Ocean!』(邦訳『なんてったっておれさまがいちばんでかいかな』)を手にして、家族で大イカに感動したときの気持ちがよみがえった。というか、あのとき以上の感動かもしれない。とにかくこの絵本、巨大イカと同様に存在感のある絵本で、すごくよくできているのだ。単純明快に食物連鎖を示してくれ、楽しいという以外に説明のしようがない。とびっきりのユーモアといかしたキャラクターが、大胆な色と構図でハッピーに描かれる。単純な文章から成る小さな子ども向けの絵本だけど、こういう個性は大人にも受けそうだ。
 海洋動物たちのサイズやスマイルに、読者の笑顔も絶えないであろう傑作絵本。新人作家のデビュー作に拍手を送りたい。(asukab)
amazon:Kevin Sherry

  • ぺたんとガラスに張り付く食物連鎖スティッカーのおまけ付き

I'm the Biggest Thing in the Ocean!

I'm the Biggest Thing in the Ocean!

*1:でも食したのは息子ぐらいで、みんな「やだー」とか言って気持ち悪がっていたとか。もったいない! 美味しいのにねえ、イカ