Out of the Ballpark アレックス・ロドリゲスの少年時代を描いた絵本

 A・ロッドとケン・グリフィーJrの存在は、シアトル人にとって感慨深い。共にマリナーズ90年代後半の黄金期を支えたスーパースターで、オールラウンドプレイヤー。実績、人気、そして華やかさを合わせ持っていた。奇しくも弱小マリナーズがドラフト1巡目1位指名(A・ロッド93年、Jr87年)で得た高校生の原石でもあり、周囲の期待を裏切らず順調にスターダムにのし上がった。今、息子がジュニア(13歳、14歳)リーグで野球をしているけれど、全米トップ1500人にドラフトされることの難しさが素直に実感できる。米国では親子(中には3代なんていうのもある!)や兄弟、親戚でプロ選手になる例がよくあり、こういうケースは能力+環境のたまものだと思わずにはいられない。
 そこで、A・ロッド作の絵本。『Out of the Ballpark』には、エラーから学んだ体験を次の勝負に生かした少年アレックスの姿が清々しく描かれる。準決勝のエラーを決勝戦でどう生かすのか。あの瞬間を思い出すたびに「胸の奥深いところがえぐられるように痛んだ」アレックス。苦い感情を通して心の軌跡が吐露され、これはわたしたちの日常にも当てはまると思った。プロって、子どもの頃から、こうやって成長していくものなんだなあ。巻末に幼少期から高校時代までの写真がたくさん掲載されていて、それも興味深かった。ある夏の一こまを描くだけの作品に過ぎないけれど、スーパースターの足跡を記す絵本なので十分価値ありというところかな。
 現在、NYでさんざんな目に合いながらも活躍しているA・ロッドにエールを送ろうっと。たとえ東海岸に行ってしまっても、ここにはまだまだたくさんファンが残っているからね。特におばちゃん、おばあちゃんたち。みんなあのあどけない「ベビー・フェイス」が恋しいらしい。ブーイングしているのは、富と名誉、実力と人気を羨望する心狭き男たちだと思うよ。(asukab)
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  • ベースボールカード付き

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