A Perfect Day こんなにいい日はないよ

 レミー・シャーリップの最新作『A Perfect Day』がすてきです。紙の質感と水彩のやわらかい色合いが父子の何気ない一日を伝える絵本で、日々開いては陽だまりのようなぬくもりを確かめています。絵本には「何気ない」が必要条件として求められますが、そこがうまく描けていて、心がうわ〜いと喜んでいるのがわかるほど。絵本の使命を見事にまっとうしていると言えるでしょう。
 朝、目が覚めたら、今日はどんなお散歩にしようかと父子が朝食をとりながら話しています。大切な人と過ごす一日を考えると、誰だってわくわくしてきますよね。ここに描かれる男の子とお父さんもそう。大切なことは「いっしょの時間」なのだと、再認識しました。娘と明日はどう過ごそうか……とか。
 ジャケット折り返しにさりげなく記された作者の意図がいいのです。

一日をいっしょに過ごすことぐらい、すてきなことってないよね?
どんなことだって、これにはかなわない。

 鉛筆の輪郭がほんのり見えるほっこりやわらかい水彩の世界が、作者のメッセージにこれまたぴったりお似合い。シングルファミリーなのかな、父子しか登場しないけれど、このあたたかさに触れてしまうとそんな事実は二の次になってきます。お父さんが子どもに読む、新たなる定番おやすみ絵本です。というか、もちろんお母さんでもかまいませんけれど。シャーリップ作の絵本*1,*2がたくさん出てくるページには、ちょっと興奮してしまいました。(asukab)
amazon:Remy Charlip

  • 必要最小限に大切なことが描かれている

A Perfect Day

A Perfect Day