Donkey Donkey ロバの耳は長いのです

 自分の長い耳が気になってしかたのないロバのドンキー・ドンキー。犬のヘクター、羊のファジー・ファジー、ブタのローザから「耳を下にたらしたら?」「横に伸ばせばいい」「前に寄せて日よけや雨よけにしてごらん」と、それぞれアドバイスを受けましたが、結局悲しいできごとを味わうのでした。果たしてドンキー・ドンキーが幸せに暮らせる日はくるのでしょうか。
 『Donkey-Donkey』に描かれるような悩みごとストーリーは、自意識の芽生える年頃の子どもたちに向くかもしれません。小さな子どもたちは彼らなりにストーリーを楽しむでしょうし、ちょっと上の年代の子どもたちなら、それぞれ感じるところがあってドンキー・ドンキーの姿を追うことになるでしょう。ロバがはらはら涙を流して嘆いた夜を、どんな思いで見つめるのか。娘が中学生ぐらいになったら、もう一度読んであげようかなと思った絵本でした。
 初版は1933年。デュボアサンの作品中もっとも人気を博した絵本の一冊だそうですが、70年代後半に絶版となり今年新たに再版されました。ロバの心情を通して人間の愚かな性を描写する、独自のペーソスが魅力です。というより、ロバという動物自体が哀しみの象徴なのですね。
 淡い水彩ペン画で描かれる、上品な動物たちの表情にずっと見とれていました。(asukab)
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  • 新世代のファンがたくさん生まれそう

Donkey-Donkey

Donkey-Donkey