Hurry! Hurry! いそいで! いそいで!

 牧場の動物たちが、うれしそうに飛び跳ねています。それはめんどり母さんが「いそいで!…」とみんなに知らせを告げているからです。ヤギが「いま、いくよ!…」と走り出し、あひるの親子が「いいかしら?…」「いこう!…」と小川を飛び出して、牛の親子が「はやく!…」と歩み始めました。いったい何が、起きているのでしょう。
 緑の牧場を舞台に繰り広げられる『Hurry! Hurry!』の表現は、きわめて簡潔です。タイトルにもあるように「Hurry/Coming/Ready/Yes/Quick/Can't/Try……」などシンプルな表現を二度繰り返し、動物親子の呼応でリズムをつけてクライマックスへとつなげていきます。盛り上がりの躍動感は、さすがバンティング。「テンポ」と「間」の取り方が絶妙で、構成の大胆なイラストの効果と合い重なり、農場の躍動感を巧みに描き出しています。この過程ではもちろん、読者もいっしょになって胸を高鳴らせるのでした。一連の流れは、少し『はなをくんくん (世界傑作絵本シリーズ)』(原書『The Happy Day (Rise and Shine)』)に似ているかもしれません。
 さて、うれしい知らせとは……。そうだなあ、わたしだったら「I'm here!…」の見開きイラストを、動物たちの覗き込む顔とふわふわちゃんの小さな後ろ姿にしたいなと思ったけれど、どうかな。でも、明るいイラストは、小さな子どもたちが大好きな色と表情で迫ってきます。赤ちゃん誕生のお祝いに。(asukab)
amazon:Eve Bunting
amazon:Jeff Mack

  • 明るく元気な絵本

Hurry! Hurry!

Hurry! Hurry!