My Life as a Chicken あるにわとりの人生劇場

 『My Life as a Chicken』のような山あり谷ありの人生ものに、「詩」という芸術媒体はしっくりときます。ベストセラー・リストにランク入りしそうな大人向けのタイトルもお似合いで、絵本ではあるのですが、人生を知り尽くした年代層受けしそうなスタイルの作品でした。
 中表紙で生まれたひよこがめんどりとなり、人生劇場の幕は切って落とされます。卵を産む平凡な日々を送っていたある日、にわとりパイにされる危機に襲われ、波乱万丈の旅が始まりました。鳥小屋を脱出したはいいけれど待っていたのは暗く危険な森。この後、川に落っこちて大海原に流れ着き、怪しい猫の海賊団に捕らえられてしまいます。間一髪逃げたかと思ったら……。ポリーン・ポウレットさんというこのめんどりの語りで進む詩は、一人称だけに臨場感たっぷり。にわとりでも人間でも、人生の荒波は共有できそうです。
 押韻するため娘には馴染みの薄い単語が続出でしたが、それは言葉のリズムで乗り切りたいところ。表情豊かな登場キャラクターが魅力的で、イラストで堪能した感がありました。
 表紙カバーの折り返しによると、ポウレットさんはいつの日かにわとり初のトライアスロン選手になることが夢なのだそうです。水中、空中を含んだ冒険の数々は、必ずや強靭な肉体と精神を養うことでしょう。(asukab)
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  • 猫の海賊団が愉快

My Life as a Chicken

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