Dimity Dumpty: The Story of Humpty's Little Sister ハンプティ・ダンプティの妹、ディミティ・ダンプティのお話

 英国の童謡、マザーグースには、子どもたちが小さな頃からお世話になってきました。中でもハンプティ・ダンプティの歌はお気に入りです。卵の形と運命からわたしなりの「たまごキャラクター」が出来上がっていて、「たまご」が主人公になる絵本にはいつにもまして敏感に反応してしまうのでした。
 『Dimity Dumpty: The Story of Humpty's Little Sister』も、そんな一冊でした。ハンプティ・ダンプティに妹がいたなんて、想像するだけでも愉快です。お父さんはドミニク、お母さんはドロシー。一家はサーカス一座の一員で、紙製たまごカートンでできた荷車に乗り、街から街を旅していました。元気なハンプティとは対照的なディミティは、人前に出るサーカスよりもフルートを静かに奏でるおとなしい性格です。ある時、お兄ちゃんが窮地に陥って……。
 キャラクター設定がユーモラスなので胸を躍らせ読みましたが、お話は平坦です。この手の遊び心が好きな息子も今ひとつといった表情で、明らかに期待はずれ。ストーリーで引きつける作品ではありませんでした。
 見所は、一家の生活ぶりでしょう。サーカスでの演目は卵の運命に真っ向から対立する「空中ブランコ」です。「落ちたら大変!」とヒヤヒヤしながらページをめくりました。(asukab)
amazon:Bob Graham

  • 作者はオーストラリア在住

Dimity Dumpty: The Story of Humpty's Little Sister

Dimity Dumpty: The Story of Humpty's Little Sister