White Owl, Barn Owl ふくろうの生態を知る絵本

 メンフクロウの生態をわかりやすく語る絵本が『White Owl, Barn Owl』です。自然や科学を扱うノンフィクションの題材も、こんな風にストーリー性を持たせると内容がぐーんとこちらに近くなるものなのだ――と、その距離感に至極感動した絵本でした。

 霜の降りた冬の朝、わたしは大きな木箱作りを手伝いました。
「これ、何に使うの?」
「メンフクロウの家じゃよ」と、おじいちゃん。
「メンフクロウって?」
 そう聞いても、おじいちゃんはにこりとしたままです。
「とにかく見ててごらん」
 わたしたちは木箱を草むらの向こうまで運びました。

 こうして女の子とおじいちゃんは大木に木箱をくくりつけます。女の子とメンフクロウとの出会いは、まず「待つこと」から始まりました。
 動物の生態を紹介するのに、もっとも適した絵本です。見開きの一方に2人の会話があり、残りの半分、あるいは三分の二のスペースは美しい水彩で彩られます。会話が子どもの興味を引き出し、おじいちゃんといっしょの安堵感を与えながら自然の姿を伝える、理想的な設定だと感心せずにはいられませんでした。イラストの中に手書きで一言、フクロウの生態や様子が語られていること――この効果もすばらしい。手書き文字の温もりが、さらに冬の朝の息づかいを伝えている感じがします。
 アートと自然がいっしょになった美しいフクロウの絵本です。読み終えた後、うちにもフクロウ用の木箱を備え付けたいね、と娘と話しました。(asukab)
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White Owl, Barn Owl

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