Slugs in Love ナメクジの恋ものがたり

 季節がとびっきりずれていますが、バレンタインにぴったりの絵本に出会いました。その名も『Slugs in Love』。主人公たちは、ナメクジです。ハービーに恋するマリールーは、こっそり詩を書いて気持ちを伝えますが、60匹を下らないナメクジ共同体にあって、ハービーはどれがマリールーなのか皆目わからずにいました。
 恋は最後に成就しますが、そこに至るまでの過程が紆余曲折でおもしろい。じょうろの壁、鍬の刃、手押し車の底、ズッキーニ、トマトの表面……と体を這わせて書く詩がロマンチックではあるのですが、光景がこっけいで結構笑えました。何しろシアトルは、体長10センチ、直径3センチはあると思われる巨大ナメクジがうじょうじょ住む土地です。這いながら、銀色に光る糸引き線で書くという詩にロマンとリアルさが重なり合い、体験したことのない妙味が残りました。(asukab)
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  • イラストがちょっとコミック風

Slugs in Love

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