Leaves おちばとくまさん

 初めての秋を迎えるくまさんは、木の葉が色づき散り始めたことが心配でなりません。落ち葉をかき集め何とか元に戻そうとしますが、そのうち眠くなってきて、結局集めた落ち葉を洞穴に詰めて冬眠に入りました。
 紅葉の神秘を不思議に思う『Leaves』のくまさんは、『ファーディとおちば』(原書『Fletcher and the Falling Leaves』)のこぎつねのよう。冒頭がまったく同じ印象だったので、どうなるのかと見守ったら、こちらはこちらですてきな帰結でした。
 言葉少ない文章とシンプルな展開で読者を魅力する秘密は、秋色が渦巻くの絵の具の溶け具合にあります。高く広がる空の色、その下で色づく葉っぱの色合いが、さらりと透明感のある水彩で凛と描かれます。冷たい空気と豊かな秋色に自分も染まってしまうような、そんな気持ちに浸れる秋の透明感です。
 お話はとても単純です。でもそれだけに、秋の美しさ、自然の喜びが感じられる絵本でした。(asukab)
amazon:David E. S. Stein

  • 以前の作風とは異なる、リラックスして流れていくようなイラスト

Leaves

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