Thank You Bear くまくん、ありがとう ロングテール現象の絵本

 『Thank You Bear』(邦訳『サンキュー ベア ありがとう 子ぐまくん』)を読んで最初に思ったこと――これは「ウェブ2.0ロングテール現象を象徴する絵本」ではないか!――ちょっと大げさかもしれませんが。
 ある日、くまくんは小さな箱を見つけました。「なんてすてきなの! ねずみちゃんが気に入ってくれるよ!」。こうして、ねずみを探しに行く途中、サルに出会い「そんなもの ちっとも すてきじゃない」……フクロウに出会い「むかし みたことが ありますな」……キツネに出会い「つかいかた まちがえてるよ」……ゾウに出会い「ちょっと ちいさすぎるなあ」……。動物たちに注文をつけられたり、相手にされなかったりでくまくんは沈んでしまいます。最後にやっとねずみちゃんに会うと……。 

……ロングテール部分の本など、どうせ忘れ去られていてぜんぜん売れていない。何がきっかけでもいいから、その本の存在が誰かに知られることに価値を見出す。――『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)』p103 第三章ロングテールウェブ2.0より

 小箱の存在に誰も興味を払わなかったけれど、ねずみちゃんにしてみるとそれはそれは大切なもので、その価値を知っていたくまくんに「ありがとう」の言葉が向けられました。
 わたしとウェブ2.0のお付き合いも似たような感じです。米国の学校図書絵本など、大多数の人々には興味のないものでしょう。それでもブログ上に記録を残すことで、存在を知り興味を抱く、ねずみちゃんのような人がいるかもしれません。ロングテールの実現に心から感謝したく思います。(asukab)
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サンキュー ベア ありがとう 子ぐまくん

サンキュー ベア ありがとう 子ぐまくん