What Happens on Wednesdays わたしのだいじな水曜日

 絶対水曜日に記録しておきたいと思ったのが、『What Happens on Wednesdays』です。タイトルの通り、おはようからおやすみまで、お父さん、お母さんと過ごす水曜日の一日を語るだけのお話なのですが、これが深まる秋頃に相応しく、しんみり子どもの時間を見つめたい気持ちにさせられました。
 夜明け前、まだ暗い時刻にお母さんに起こされて、わたしの水曜日は始まります。「……わたしがカウンターにすわって、母さんがコーヒーを作ります。母さんがコーヒー、わたしがミルクをのんで、ソファでおはなしをよむ間、いちごをほおばることもあったりします。とけいが6時になったら、父さんをおこします。これがたいへん。……」
 女の子による語りは子どもの視点の投影で、これが親にしてみれば愛しくて仕方ありません。この後、彼女はお父さんと一緒にプレスクールへ行くのですが、その間、新聞を取りにいったり、黒猫のマリアを見かけたり、カフェでべーグルを買い、公園で友だちに出会ったり……と朝は忙しく巡っていきます。子どもって確かに時間で行動するのではなくて、「何かをした後に何かをして」と言った習慣の連続で行動するのですよね。何気ない発見やできごとは彼らにしてみればそれは大きなできごとで、親子の思い出となって刷り込まれていく――。その過程が温もりいっぱいに描かれていてすてきでした。
 イラストは、ミックス・メディア。コラージュ、水彩、擦り絵ありのイラストが親子の息づかいを伝え、女の子の語りにぴったり似合っています。母子のクローズアップされたページでは木炭調のデッサンが生き、ちょっと八島太郎のイラストを眺めているような錯覚にも陥ったり。画家は本作品でデビューということなので、もっともっと作品に出会いたくなりました。
 寒くなり始めた季節に、熱い飲み物をいただきながら開くのがぴったりの絵本です。幸せ親子の姿に、ほんわか暖めてもらえます。(asukab)
amazon:Emily Jenkins
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  • ニューヨークの街って、絵になります。絵本にぴったり

What Happens on Wednesdays

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