くまのテディちゃん

 『くまのテディちゃん』は、子どもたちが小さな頃に出会っていたら夢中になっていた絵本でしょう。手のひらサイズの表紙に茶色いくまちゃんがスマイルする姿を見て、娘は「待って!」と間を入れて、自分のくまちゃんとナッフル・バニーを抱きしめ戻ってきました。幼児向け絵本は郷愁をかもすので、どうやら年齢は関係ないようです。
 ページをめくると見開きごと、くまちゃんの身の回りのものが一つずつ紹介されていきます。黄色いつりズボンに始まって、赤いゾウさんがついた白いエプロン、小さな青い椅子、同様に青い机。ここまでくると娘は、次に何が出てくるのか言い当てたがりました。テーブルの上に乗っているものは……。
 読んでいて気持ちのいいテンポでした。わかりやすい文章で一つ一つ丁寧に大切な物が紹介されるので、子どもはたまらない愛着と共感に包まれることでしょう。基調となる柔らかな黄色が、子ども時代の笑顔をたたえています。
 表紙見返しの言葉がすべての魅力を語っていました。それは、こんな風に――。

「ぼくのコップで のむの!」
「わたしのいすは どこ?」

自分のものを
持つのが うれしい…
そして それを
自分で使うのは
もっと うれしい…
そんな次期の子どもに
ぴったりの絵本です。

さあ、
テディちゃんの持っている
すてきなものを
見せてもらいましょう。

(asukab)
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  • スウェーデンとスイス出身の作家、画家による絵本。裏表紙の、後ろで手を組んだくまちゃんの姿もほっこりあたたかいな

くまのテディちゃん

くまのテディちゃん