Close to the Wind: The Beaufort Scale 七つの海で風を受ける

 ウェブ時代に入り更なる文明の進化を享受する喜びはたくさんあるけれど、『Close to the Wind: The Beaufort Scale』のような美しい絵本に出会うと、やはり今の時代に生きていて良かったなとあらためて実感する。本書は、架空の海軍見習い将校ウィリアム・ベントレーが妹に宛てた手紙を通して、海軍少尉で水路地図研究家だったフランシス・ボーフォート(1774-1857)の航海の様子と彼の発案したボーフォート風力階級を紹介する絵本である。
西風号の航海は1805年7月16日イタリア、ナポリに寄港する場面から始まり、同年9月6日、カリブ海バルバドス海域でハリケーンに遭遇するまでを記録する。12通の手紙は、日を追って風が強まる状況を風力階級の数字で示し、海のさまざまな表情を見せ付ける。端正なイラストで迫力いっぱいに描写される航海の様子は、潮風の情緒たっぷりに海洋文化の真髄を伝えている。
 1838年、英国海軍に認定されたボーフォート風力階級は現在も風の強さを表す指標として航海で利用されている。辞書で12階級を調べてみると……:

  • Beaufort No.0 calm 静穏 1マイル未満、1キロ未満
  • Beaufort No.1 light air 至軽風 1-3マイル、1-5キロ
  • Beaufort No.2 light breeze 軽風 4-7マイル、6-11キロ
  • Beaufort No.3 gentle breeze 軟風 8-12マイル、12-19キロ
  • Beaufort No.4 moderate breeze 和風 13-18マイル、20-28キロ
  • Beaufort No.5 fresh breeze 疾風 19-24マイル、29-38キロ
  • Beaufort No.6 strong breeze 雄風 25-31マイル、39-49キロ
  • Beaufort No.7 near gale 強風 32-38マイル、50-61キロ
  • Beaufort No.8 gale 疾強風 39-46マイル、62-74キロ
  • Beaufort No.9 strong gale 大強風 47-54マイル、75-88キロ
  • Beaufort No.10 storm 全強風 55-63マイル、89-102キロ
  • Beaufort No.11 violent storm 暴風 64-72マイル、103-117キロ
  • Beaufort No.12 hurricane 颶風 73マイル以上 118キロ以上

amazon:Peter Malone

  • 歴史ノンフィクションなのだけれどイラストがとにかくきれい。海風に吹かれたいときに

Close to the Wind: The Beaufort Scale

Close to the Wind: The Beaufort Scale