velma gratch & the way cool butterfly ヴェルマ・グラッチととってもすてきなちょうちょう

 絵本好き冥利に尽きる絵本はそうそう出会えるものではないのだけれど、『Velma Gratch and the Way Cool Butterfly』は確かにこのカテゴリーに入る一冊だ。表紙のヴェルマちゃんとミルクウィード・バタフライ(オオカバマダラ)の組み合わせだけで、ただ者ならぬ雰囲気が漂ってきた。
 グラッチ姉妹の中で、末っ子の小1ヴェルマだけ存在感がない。成績優秀、スポーツ万能の姉2人に負けまいと無理な行動に出て、彼女は校長室に呼ばれてしまうほど。でも、そんなヴェルマにもお得意な科目があった。科学(サイエンス)――。虹の原理と火山の成り立ちを学習し、今は蝶々について学んでいる。蝶々のことなら、お姉ちゃんたちにも負けないよ! 
 長い学習用語を忘れまいと何度も唱えて覚え、別の言葉になってしまう場面など、ヴェルマの意気込みがいじらしかった。たとえばこんな風に:

  • Metamorphosis=変身→metal-more-for-this
  • Conservatory=温室→can-serve-the-story
  • Migration=移動→my-gray-sun

 蝶々の生態を学びながら、あるできごと――ちょっとファンタジーにも思えたけれど――をきっかけに成長していくヴェルマの姿がすてきだった。ひらひらと舞う蝶々は、魅力たっぷり。ふんわり、さわやかな読後感に包まれる。
 心温まるお話のイラストは、またしてもケヴィン・ホークスだった。この手のストーリーは「彼しかいない」という通説があるのかと思わされたほど、当たりが多いと感じてしまう。イラストもストーリーも味付けの仕方も大満足で、すべてよし。娘もお気に入りの一冊。(asukab)
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  • 娘も人差し指に蝶々が留まり、じっと時間が過ぎていったというヴェルマちゃんと同様の経験あり。このシーンは夢見心地で読んでいました

Velma Gratch and the Way Cool Butterfly

Velma Gratch and the Way Cool Butterfly