戦争ゲーム
タイトル『戦争ゲーム』のように、青年たちはまるでサッカーの試合に赴くような気持ちで出征したに違いない。英国を上げての愛国運動に踊らされ、第一次世界大戦の前線に送り出されたウィル、フレディ、ビリー、レイシー。4青年の悲喜は田舎から戦地に向かう状況を背景に、当時の資料を含めながら、ときにユーモアを交えて語られる。題材が戦争なので、戦地の描写は、もちろん暗く重い。それでもどこかに明るさを感じさせる人物描写は、何も知らずに戦争志願した若者たちの、等身大の姿なのだろう。
クリスマス・イブにドイツ兵といっしょに歌ったキャロルと、その後に交えたサッカー試合は有名なエピソード*1で、絵本にも多い。友好のクリスマスを迎えても戦いを強いられた両国兵士たちの哀しさが、終章を飾っている。
横長の原書版を、日本の教科書のように縦に変えた編集がすばらしかったと思う。少しばかり中学生の教科書を読んでいるような緊張感が生まれ、教室の中で戦争について考えているような気持ちになった。(asukab)
amazon:Michael Foreman
- 邦訳の書影がないので原書で。邦訳は縦長、右開き
- 作者: Michael Foreman
- 出版社/メーカー: Pavilion Books Ltd
- 発売日: 1995/10/01
- メディア: ペーパーバック
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