おへやのなかの おとの ほん

 『おへやのなかのおとのほん』(原書『The Indoor Noisy Book』)は、こんな風に幕開く。

こいぬのマフィンは かぜをひきました。
きょうは そとにはでられません。
いちにちじゅう おうちのなかで、
ちいさなねどこに ねかされることになりました。

 静かに横たわるマフィンの耳に、さまざまな音が聞こえてくる。
 冬の音と夏の音――。季節ごとの音は確かに存在し、見えないところで四季の彩の中に溶け込んでいる。例えば、ここでは「みぞれのおとと、ゆきのおと。それから ゆきのふったみちを、じどうしゃがはしるおと。どんなおとかしら?」
 暖かい部屋で耳にするそんな冬の音は、小犬にとって、夢うつつな時間の流れでもあるだろう。体の半分が眠っていることもあり、現実と夢の境界を行き来する映像として思い描いているかも知れない。何もしなくていい一日の、何もしない時間でも、まわりはいつもと同じように動いている。これこそ幸せの投影そのもの、かな。
 子どもがマフィンになりきって、ベッドに横たわり聴きたがる絵本*1。冬の風邪引きのときに読むのもいい。(asukab)
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おへやのなかのおとのほん

おへやのなかのおとのほん