Great Joy ディカミロのクリスマス絵本
クリスマスの4日目
ケイト・ディカミロのクリスマス絵本ということで注目しながら『Great Joy』(邦訳『ゆきのまちかどに (ポプラせかいの絵本)』)を読んだ。時代は米国50年代か。年老いた手回しオルガン弾きと相棒のお猿さんを目にした少女フランシスは、彼らの存在が忘れられなくなる。路上に暮らしていることを知り、食事に招待したいと母親に話しても取り入ってもらえなかった。教会の降誕劇に出るので見に来て欲しいと頼んだのはいいのだが、晴れの舞台でフランシスは台詞を忘れてしまった。おじいさんとお猿さんの哀しい姿が目に焼きついて離れなかったからだ……。
結末に賛否両論のあったストーリーだったので、読み進めていくと、なるほど、両者の観点が読めた。クリスマスの真の喜び「グレート・ジョイ」の意味を伝える単純明快な最後をよしと見るか、何か物足りないと見るか。感じ方は個々によるだろう。イラストは、いつもながら豪華で品格のあるできばえ。これだけでも感激する読者は多いと思うな。ただ、フランシスが幼く見える。九九を練習して、州都を覚えている場面が出てくるから、少なくとも小学3年生ぐらいだと思うのだけど、1年生ぐらいの女の子に描かれている。(「あ、掛け算練習してるよ!」と絵本を読みながら思わず娘に話しかけていた。この休暇に少し練習しておかなくちゃね。)
弱者を含めてこそのクリスマスのお祝いなのだけど、現実はマッチの灯に点る一瞬の幻のようにしか存在し得ない。表層的なクリスマスを良しとして生きることが一般的な感覚で、それは変わらないのだろう。それがクリスマス。星の煌きだけでも慰めになるということか。絵本に描かれるのは、そんなクリスマスだった。(asukab)
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- 作者: Kate DiCamillo,Bagram Ibatoulline
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