シーソー
『シーソー』という題名や帯の「哲学絵本」という響きから、「人間の生き方」とか「コミュニケーションのあり方」みたいな指南が書かれている絵本かなというイメージを持った。あながち間違いではなかったけれど、物語の過程で起こるそれぞれのエピソードに考えさせられたり、美しい自然描写に魅せられたり。哲学以上に詩的なファンタジー読み物として、楽しませてもらった気がする。
主人公は、くまのピー。ここでイラストにご注目。「くま」という設定だが、意図的に男の子がくまの毛皮を被っているように描かれている。ピーはシーソーをしたいのだけれど、待てど暮らせど相手が現れない。そんなとき、大きなモミの木がたわんでシーソーの片端に倒れ込み、ピーは雲のカーテンも、空の天井も通り過ぎ、宇宙との境目も通り過ぎるほど、高く放り出されてしまう。三日月の先っぽにぶらさがりながら三日月さんからシーソーの働きを教えてもらい、朝が来るとピーは地上の川に滑り落ちた。ここからピーの出会いの旅が始まるのである。
出会いがあるごとにピーは気づいたことをメモに取る。このメモがなかなか味わい深く、日々の生活で思い当たるふしがちらほら目に浮かんだり。
- 向こうの席にだれもいないと シーソーはできないね
- 待っているのはこわいな どんなことになるのか分からないから
- 月が太陽を思うように相手を信じられるのなら シーソーはかんたんだ
- 相手の話を聞かないのなら シーソーしたってなんにもならない
- だれもがみんな シーソーを好きだってわけじゃない……
……という具合のメモ書きを目にして、わたしは記憶の引き出しから個人的なサンプルを取り出してみた。当てはまることが、いろいろある。
詩的な表現や会話が続くので、ところどころ読み返さないとイメージの浮かばない箇所もあったけれど、それゆえに丁寧に何度も読み返したいと思えた。特に、最後にピーが戻った場所の象徴が何なのか、よくわからずにいる。他にもメモの意味がどういうことなのか、ぴたり!と直感できない箇所があるので、時間のあるときに再びページをめくりたい。読み返すことで、新しい発見のある作品なのだろうなあ、とも。
オイルパステルと水彩を利用した絵が北欧フィンランドの厳しく美しい自然を描写しているようですばらしかった。「絵本」とあるけれど体裁はそうではなく、文字が多く、かつカラーイラストのきれいな絵本的読み物と言えるだろう。中高生への贈り物にもいいかもしれない。
帯には「ムーミンの国から来た哲学絵本」とあり、「フィンランドにて児童書ベストブック賞受賞」とある。フィンランド人の友人がいるので、作品についていろいろなことを尋ねてみたくなった。(asukab)
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2008年の抱負
- 絵本手帖に毎日記録
- 花・緑のある生活(ダイニング周辺をジャングルみたいに植物でいっぱいにする緑化計画)
- 子どもたちとヨガ・ピラテス
- 古典に親しむ
- 早寝早起き
- 目の前にある仕事からどんどん片付ける(紙を張り出す!)