八木重吉詩集 ひとすじに

 『ひとすじに』は、日本から届いたクリスマスプレゼントの一冊。ピーターラビット・シリーズぐらいの、子どもの手に収まるサイズの詩集で、中には12編の詩が収められている。手紙の追伸にこうあった。
P.S. 
きれいで可愛いものみつけたので
きれいで可愛いひとへ――
詩のことば、そのままで易しいけれど 
繰返し くちずさんでいると、何だか だんだん む、づ、か、し、く、なる――
  明治と大正で半分づ、二十九年だけ生きた夭折の詩人
  昔?の学生たちなら、"重吉を知らないの?"なんて、云われたものです。
 贈り主は、わたしのピアノの先生。教会のオルガン奏者でもあり、6才の頃から大学進学で田舎を出るまでずっとピアノを教授していただいた。結婚して渡米してからも毎年クリスマスカードとプレゼントを贈ってくださり、癌に侵され死と対面しつつも、いつもわたしの家族のことを思ってくれている。人生の理想の人。何年にもわたり大きな影響を与えていただいた。今もずっと。
 先生は、何歳になっても可愛い人――子どもの頃からずっと思っていたけれど、その気持ちは現在も変わっていない。この他に『マローンおばさん』『ナイト・ビフォー・クリスマス (とびだししかけえほん)』と和紙千代紙、手製刺しゅうの施された布巾2枚が入っていた。薄紫色のHarrodsの箱にぴったりと収まって。
 八木重吉の詩集から、冒頭と最後の作品を。(asukab)

「不思議」
こころが美しくなると
そこいらが
明るく かるげになってくる
どんな不思議がうまれても
おどろかないと おもえてくる
はやく
不思議がうまれればいいなあと おもえてくる
「ねがい」
どこを
断ち切っても
うつくしくあればいいなあ

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  • マローンおばさんは巻末に英語併記。宗教色を越えた普遍の愛が、詩の形式で描かれます

マローンおばさん

マローンおばさん

  • 作者: エレノア・ファージョン,エドワードアーディゾーニ,Eleanor Farjeon,Edward Ardizzone,阿部公子,茨木啓子
  • 出版社/メーカー: こぐま社
  • 発売日: 1996/10/25
  • メディア: 単行本
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