Abracadabra! Magic with Mouse and Mole ほんとの魔法は 時間がかかるもの

 『Abracadabra! Magic with Mouse and Mole (A Mouse and Mole Story)』を読む。ねずみさんともぐらくんのやりとりが何か大人の会話にも取れ、可愛いと言えば可愛いが、都会的でモダンと言えばそんな気もする。ごまかしの魔術ショーに幻滅したもぐらくんに、ねずみさんが自然の「魔法」を伝える場面が見所だった。
 さなぎから蝶へ、おたまじゃくしから蛙へ、蛍が飛んだり、月光が差し込んだり、見渡せば、自然に囲まれた暮らしにはあちこちに「魔法」が散りばめられている。「おぼえておいてちょうだい、もぐらくん。ほんもののまほうは じかんがかかるものなのよ」。メッセージは、子どもの絵本ではあるのだけれど、大人にこそじんとくる一言ではないか。
 イラストが初級読本風――一般的にさらりと手をかけずに仕上げた作風が多かったりする――でなかったら、他作品*1のようにすてきな絵本になっていたかもしれないな。(asukab)
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Abracadabra! Magic with Mouse and Mole (A Mouse and Mole Story)

Abracadabra! Magic with Mouse and Mole (A Mouse and Mole Story)