Tap Dancing on the Roof: Sijo Poems 朝鮮半島の詩 時調

 朝鮮の伝統詩、時調。元は漢詩から派生し、13世紀頃、高麗で盛んに詠われ確立されました。英語では「sijo しじょ」と読み、俳句のように音節を数えて詩(うた)にします。
 伝統的に14-16節の3行で成り、全体では44-46音節で詠む、ちょうど俳句を3句並べたような長さです。俳句が自然を詠むのに対し、時調は主観的で私的、感情的な表現が多いそう。面白いのは、まるで漢詩の「起承転結」のような各行の役割です。1行目が「状況設定」、2行目が「展開」、3行目が「落ち」のような形式を取っていて、漢詩と俳句の中間に位置するかのようなユニークな詩形態だと思いました。
 『Tap Dancing on the Roof: Sijo (Poems)』は、そんな伝統的な定型詩で現代の米国風景を詠んだ英語の時調集です。子どもの視点を意識しているので、どの3行にも彼らの気持ちを投影する描写が続きます。最後に微笑ましい「落ち」を添えて。たとえば最初の時調はこれ。

BREAKFAST

For this meal, people like what they like, the same every morning.
Toast and coffee. Bagel and juice. Cornflakes and milk in a white bowl.

Or---warm, soft, and delicious---a few extra minutes in bed.

 俳句は一瞬を切り取る詩形態ですが、時調はひねりを効かせた遊びの工夫が必要かもしれません。頭の体操を要しそうなので、どちらかといえば中高生から大人向きでしょうか。巻末に時調を詠む際のアドバイスが記されているので、参考にするといいでしょう。
 それにしてもこの時調集、イラストが絶品なのです。『ZOOM (fukkan.com)*1の画家イストバン・バンヤイと聞いたら、おお〜!の反応では。粋で洗練されたイラストレーションが言葉と絶妙に調和して、とびきり洒落た詩集に仕上がっています。(asukab)
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Tap Dancing on the Roof: Sijo (Poems)

Tap Dancing on the Roof: Sijo (Poems)