The Searcher and Old Tree ぼくのおうち

 『The Searcher and Old Tree』は、あらいぐまと大きな木のお話です。
 大きな木は、あらいぐま(サガシモノくん)のお家。何があろうとも、どんなことが起ころうとも、木はあらいぐまを守ってくれました。たとえ大嵐がやって来ても、周りで起きていることなど何も知らずに寝息を立てていたほどなので、その堅守ぶりは相当なものです。安らかに夜を迎えたあらいぐま――夜行性の動物なので――は、またいつものように月夜の狩りに出かけるのでした。あれ、なんだかいつもとちょっと違う様子だけど……などと、地に落ちた枝や葉っぱを見て不思議に思い、木に手を振りながら。
 お話はただそれだけなのですが、大きな木はさまざまな存在を象徴しているように見えました。親であったり、国家であったり。わたしは特に親の存在として見立て、子どもには危険や悪を知らずに成長する環境が必要で、そこで育まれる健やかな心が必要なのだと思い描いたり。受け取り方は、人それぞれでしょう。
 嵐のページは激しい描写が続き、返って間が空いてしまったようにも感じられます。しかしながら、あらいぐまの姿は非常に無垢で好感が持てました。(asukab)
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The Searcher and Old Tree

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