Monarch and Milkweed 蝶と花のすてきな関係

 北米大陸の春をにぎわすオオカバマダラ(英名Monarch butterfly、別名を帝王蝶)は、冬季を南国メキシコで過ごし、春から夏にかけては北方に移動することで知られています。シアトルの4月はまだ肌寒いのですが、それでも春風がわたり、鳥のさえずりがうれしい季節――。それは同時に、蝶たちが当地に戻り、トウワタ(Milkweed)に卵を産み、あおむしが葉を食べ、さなぎになる自然の神秘を繰り返すときでもあります。
 『Monarch and Milkweed』はノンフィクション絵本にもかかわらず、この自然のサイクルをまるで詩を歌うかのように語ります。春から夏、そして秋にかけての蝶とトウワタの関係を、わかりやすい短文で、語りとして情景豊かに伝えるのでした。
 イラストがまた美しい。蝶と花の生態は、アクリルとパステル使用による独特の質感*1で描かれます。観察的な描写が詩的な描写にもなりえて、互いに必要とし合う蝶と花の関係をたたえているかのようです。書影からはわからないかもしれませんが、自然の姿がアートで賛美されている風でもあり綺麗。特に見開きいっぱいにクローズアップされた蝶がはばたくページでは、娘がため息を漏らしました。この大胆な構図は、全くノンフィクション絵本らしくありません。
 巻末に解説が付き、蝶の移動の様子を伝えるウェブサイトも紹介されています。確かな目で自然を見つめる、蝶々の大好きな人に。(asukab)
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Monarch and Milkweed

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