Wave ぜったいに、この夏の宝物絵本!「なみ」

 一目ぼれにふさわしい出会いだった。白と水色がさわやかな横長の表紙。『Wave』(…感激して紹介しようと思ったら、まだアマゾン・ジャパンには出ていない様子。…入ったようなので、加えました…4/24)――もうこの時点で、この夏の運命の出会い。
 木炭素描とアクリル水彩による砂浜の光景が、いつまでも胸にしまっておきたい遠い日の情景を淡く描く。表紙を眺めるだけで、浜に寄せる波の音を聴き、潮風に吹かれ、かもめを追っているのである。
 砂浜にやってきた母親と女の子。しばらくの間、女の子が波と戯れ、2人はまた去っていく。このいたって原始的な風景を、これほどまで詩的で美しい絵にしてしまう空間って、可能だったわけ? 文字は一言もないのだけれど、そこには女の子の喜び、驚き、海への愛しさがすべて描かれていて、わたしはたった2色で世界を描き上げる画力にただただ圧倒されていた。しぶきの飛び散る波の表情が、無条件に美しい。
 出会えたことに感謝。この夏、毎日眺めていたい絵本だろうか。調べてみたら、以前、動物園の絵本*1で魅せられた画家だった。ソウルの大学を卒業して、英国で絵を修めたのが正解だったのでは。たぶん米国では得られないであろう感性がのぞいて見える。(asukab)
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Wave

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