フィリッパ・ラズベリーのうた

 北欧に遊びたければ『フィリッパ・ラズベリーのうた』を開いてみましょう。小人や妖精、動物たちが、豊かな自然に囲まれた日々を紹介してくれます。
 ジャケット折り返しには、こんな風に記されています。…「このえほんを ひらいたら もりや のはらに すんでいる ちっちゃな ちっちゃな おともだち みんな そろって やってきて たのしい おはなし きかせてくれる」…。その23編の小さなお話は、詩のリズムで軽やかに語られます。
 そうそう、昨日ここで触れたホップさんも登場します。大工のホップさんは、テントウムシやふとったクマ、カエル、コオロギ、のんきなウサギ、ハリネズミスズメバチ……みんなの願いに応え、注文どおりの家を建てます。どの家も、動物たちの個性が表われるユニークな家なのですね。ちょっと、どのような家かのぞいてみると……

テントウムシが はねを ひろげて
「このくらいの」と いったなら
ホップさんは まほうのように
ぴったりの いえ かんせいさせる

ふとった クマが ほしがったのは
ぐっすり ねむれる まっくらな へや
ひとつも まどの ない へやで
ゆめも みないで はるまで ねむる

 わたしたちの家も小さな家なので、今度建てかえるときは、ホップさんにお願いしたいな。ツリーハウスに住むような自然の木目が美しい、緑の香りに一年中包まれる家――ホップさんなら、きっと注文どおりに作ってくれるでしょう。ラズベリーレッドが鮮明な、贈り物にぴったりの絵本です。……残念ながら、書影なし。フレーベル館サイトにエヴァ・ビロウの特設ページがあります。http://www.froebel-kan.co.jp/eva_billow/index.html(asukab)