わたしたちの のはら
見わたす限り広がる野原の気持ちのいいことと言ったらありません。わたしは田舎育ちなので、空が大きく見える野原はいつもまわりにありました。特にお気に入りだったのが、千曲川の土手に広がる広々とした畑の光景です。夏を舞台に、草の香と、黄金色の太陽と、川風に包まれ、そこはまさに子どもたちの楽園でした。
『わたしたちののはら (児童図書館・絵本の部屋)』(原書『Our Field』)を読んで、記憶の片隅に佇んでいた長閑な風景がよみがえりました。こちらは100年も昔の英国。でもくまのプーさんと同じイメージが残る田園地帯は、やはり信州の自然に似ていました。
季節は夏。野良犬ピエロと3兄弟の豊かな日々が、淡い水彩で軽やかに描かれます。しかしながら、お話だけでも十分に魅力のある作品です。伏線と描写力が縦横の糸を織り成し、これはぜひ英語でも出会いたい作品だと感じました。どうやってピエロの登録料を支払おうか思案し、実践する子どもたちの姿が、後半に向けてストーリーを巧みに盛り上げていきます。
野の香りを確かめたくなったら、この絵本でしょう。オーキッド、ヘアベル、メドウスイート、バタカップ、ドッグローズ、クレーンズビル、スピードウェル、マリゴールド、コーンフラワーと、野の花の名称がたくさん登場するので、植物図鑑も傍らに置いておきたいですね。懐かしい時間がゆっくりとよみがえる絵本です。
ドーハティ再話とあるので、元になった原書にも興味が湧きました。(asukab)
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- 作者: ジュリアナ・ホレイシアユーイング,バーリードーアティ,ロビン・ベルコーフィールド,Berlie Doherty,Robin Bell Corfield,佐藤見果夢
- 出版社/メーカー: 評論社
- 発売日: 1996/05
- メディア: 大型本
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