Jumpy Jack & Googily ジャンピー・ジャックとグーギリー――不気味で不思議な2匹の物語

 同じ作家コンビによる2作目『Jumpy Jack & Googily』は、表紙の2匹を見ただけで何だか変わった絵本という印象が残る。銀色の糸を地面に引くかたつむが、ビクビク、ソワソワ、何にでも異常に反応するビックリ屋ジャック。青い図体にとがった牙をむいた怪物みたいなのがグーギリー(これって、グーグルからヒントを得た名称?)。彼らの会話がまた何かヘン。

J「ぼく おちつかないんだ」「ぼくの ちかくに かいぶつが いるみたいなんだよ。かいぶつって こわいなあ」
G「ばかなことを いっちゃあいけない」
J「あの木の うしろに かいぶつが いるかもしれないよ」
G「どれどれ」「そんなこと しんぱいするなんて おかしいよ」……

 こんな調子で怪物に怯えるジャックと怪物のような風貌グーギリーの会話が続く。読者からしたら、グーギリー自体が怪物(のよう)に見えるのだが、絵本では怪物を怪物と感知していないからジャックにとっての怪物とはどんな様相なのか。
 2匹は同居していて、家に戻ってからの会話も抜けている。最後の落ちに受けるかどうか。そこで読者の機知が試されそう。
 1作目『Meet Wild Boars (Bccb Blue Ribbon Picture Book Awards (Awards))』もかなり話題に上ったのだが、これも普通じゃない絵本と言える。徹底的に悪態をつく4匹のイノシシが主人公。この4匹に、かわいいところなどありゃしない。最初から最後まで、「悪いこと」と社会的に決め付けられている困ったことを繰り返すのだ。
 これがロソフの感性ってわけ。深層に潜むものは……と思わず探りたくなる。(asukab)
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Jumpy Jack & Googily

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