絵本と漫画

 一人のために紡がれた作品が絵本とすれば、漫画は一般大衆のために売ろうとする作品が漫画。いずれも感動を呼び起こす作品であろうが、決定的に両者を隔てる要因は「心と言葉」のあり方にある。商業主義と消費主義に絡む漫画は、だから個人的に、どうしても受け入れられない。表現方法も、漫画を取り巻くサブカルチャーも、いずれも生理的に受け付けない。
 中学生の頃、友人たちの影響でちょっと好きになった少女漫画家がいた。でもそれも、自分の好きだったアイビールックをまとった学生たちを描く物語に惹かれたに過ぎず、以降、自分から漫画を購入したことはない。確かに読んでいるときは面白いと思うけれど、ただそれだけ。雑誌と同じで、時間が過ぎれば自分の中には何も残らないのである。
 いつかここで記さねば……と思っていたこと。商業主義に乗せられた消費主義にのめり込んでしまうと、人は心の清さや美しさが見えなくなってくる。「そんなものでしょ」で流されてしまっては、子どもの本には関われない。