The Dog Who Belonged to No One 小犬と女の子のものがたり

 『The Dog Who Belonged to No One』の主人公は、家のない小犬と家業のパン屋さんを手伝う女の子。けんめいに生きる両者の姿を平行させて描き、最後にハッピーエンドとなるお話です。対句形式がリズムを生み、さわやかな余韻をかもします。
 時代は20世紀初頭でしょうか。ニッカーボッカーズにハンチングの姿で野球をする男の子たち、お人形で遊ぶ女の子たちが見えます。生きることに精一杯で生活に余暇の少なかった時代、ほんの小さな楽しみが暮らしの支えだったのだろうと振り返りました。
 今でももちろん、日々の暮らしだけを追わざるを得ない人々は存在します。けれども商業主義、消費主義に囲まれると見えなくなってくるのですね。彼らでさえ、自分たち自身が見えていなかったりするでしょう。
 閑話休題。絵本全体がセピアがかった秋色で描かれ、今の季節にぴったりです。子どもが深く共感しそうなストーリー。(asukab)
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The Dog Who Belonged to No One

The Dog Who Belonged to No One