Old Bear くまさんのゆめ

 ブックフェアが終わり、秋の深まりとともに新学期の教室も落ち着きを取り戻し始めました。今年の低学年作文指導は、ケビン・ヘンキーズ――先生たちがみな「ヘンクス」でなく「ヘンキーズ」と呼んでいるので後者にならいます――の絵本を通して大々的に行われるようです。主人の机の上にもリリーやオーウェンの絵本がところ狭しと置かれていました。
 ヘンキーズの最新作は『Old Bear』。ここ一年ぐらい、輪郭線の太い独特の水彩で、小さな子ども向けの絵本*1を手がけています。今回も自然界の描写が中心。一匹のくまさんの姿を通して、四季の移ろいをユーモラスに、かつしっとりと伝えます。冬眠中に見る春夏秋冬の夢が、小さな読者に大いに受けそうかな。描かれる対象は非常にシンプルなのですけれど、自然の中で生きる素晴らしさが子どもの発想で実感できます。
 このくまさんは「オールド・ベア」だから、子ども時代に戻った四季折々の夢を見たのでしょうか。確かに歳月を重ねれば重ねるほど、四季の美しさは人の心により深く染み入ってきます。(ここでは、くまの心ですけれど。)秋は木々の彩りとともに、流れる年月の豊かさを実感させてくれる季節。絵本を手にして、幾星霜を意識する大人も多いのでは……と感じました。(asukab)
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Old Bear

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