The Odd Egg かわった たまご 

 「たまご」は、魅力的*1。その自然形と発見にいつも魅せられていたわけだけれど、『The Odd Egg』では、たくさんの鳥たちといっしょにコロコロ転がり出しそうな嬉しい気持ちを共有させてもらった。小さなたまごから、大きなたまごまで。主人公はまさに、たまご。
 でも実は、それだけの絵本ではなかったりする。たまごの放つ喜びと同時に、母親の心情を真摯に語る側面も持ち合わせ、子どもの来る日、つまり成長を待つ気持ちをしんみり描いてもいる。
 ロビン、にわとり、フクロウ、オオハシ、フラミンゴ――。アヒルをのぞき、鳥の母さんたちはみな、産んだたまごを自慢げに抱えている。たまごを産まなかったアヒルは、まだら模様の大きなたまごを見つけ、「世界一のたまご」と信じてふ化する日を待つことにした。でも、ほかの鳥たちの表情を見てごらん。誰も世界一美しいたまごなどと思っていやしない――「へんなたまご」「ぜったいに、かえらない」「きれいじゃないよ」。(嘲笑の渦巻くこのページは、少々辛らつだと思う。)そうこうするうちに、たまごがかえり出した。パリパリ、パキパキ……、小さなたまごから順にかえって、母さん鳥たちは大喜び。最後に待ちくたびれた頃、アヒルの大きなたまごもかえろうと、バリバリと音を立て始めた。
 いつものように動物たちの表情がかわいらしい。順にたまごのふ化するページはめくりの仕かけになっていて、作者のアート感覚にまたまた脱帽。平面で繰り広げる空間感覚は、天性のものなのだろう。過去作品からも察せられるように、恐るべき異能の持ち主と言える。
 さて、アヒルのたまごからは、何がかえるのだろう? 娘も息子も声をそろえて「恐竜!」と予想して、はずれ。わたしが当てたのだけれど、この動物の登場の仕方が、ばっちりと決まっている。最後はユーモラスに幕を閉じて、その後、このお話がどう発展するのか非常にイマジネーションを掻き立てられた。見返し、必見。 
 グラヴェット作品では『Orange Pear Apple Bear*2Monkey and Me*3と並ぶ、小さな子ども向けの3冊目。クリーム色の地とピスタチオ・グリーンの背がやさしく、ふんわりしたイメージを生んでいる。(asukab)
amazon:Emily Gravett

The Odd Egg

The Odd Egg

 休日を利用して子どもたちといしょにインターナショナル地区(チャイナ・タウン)へ。美味しい日本のラーメン屋さんがオープンしたとのことで、この日を心待ちにしていた。
 途中、アヒルの丸焼きが売られていて、思わず絵本のアヒルを思い出した。くちばしも目も、そのままに、おしょう油色に調理されている。でも、表情は絵本のアヒルと同じ――ほんわか、やさしい顔。10羽並んで首から下げられ、一日、二日の間には人間の胃袋に収まるのだ。「くちばしも全部食べるの?」と娘からきかれた。全てをいただく丸焼きに見る人間の生き方。対象が大きくなればなるほど、生きる力を実感する。