さいこうの いちにち

 新学期が始まり、自分でも驚くほど充実の日々が続いている。去年の2クラスから増え、今年は4クラスでのチューターなのだが、想像以上にストレスがたまらずにいて意外や意外、素直にうれしい。やはり過去2年間は、担当したクラスの質によったのだ。この非常にストレスフルな学年は今年、3クラスに分かれたので、問題も分散したらしい。今から振り返っても、やはりむずかしいグループだった。そんな彼らが今年はスムーズに学習に打ち込んでいるというから、手を焼いた甲斐があったというものか。
 今年のクラスは、Kから3年生まで。新卒担任に車椅子の先生がいて、彼のクラスがすばらしい。今だかつてないほど問題が多いといわれている学年・クラスにもかかわらず、授業のすみずみに小さな工夫が凝らされていて、ストレートに彼の人間性と気持ちが伝わってくる。加えて、過去の経験から、わたしの準備もできている。なんというか、その瞬間、瞬間に打ち込み、いっしょに突き進もうという気持ちになっている。目の前の課題にまずしっかりと取り組むこと――これも生きる本質だ。
 『さいこうのいちにち (児童図書館・絵本の部屋)』(原書『Mayfly Day』)に書いてあった。

これはカゲロウ。
きょうが、地上に出てきたさいしょの日。
そして、さいごの日。


カゲロウは、地上でいちにちだけ生きる。
かなしがっているのかな? ちっとも。
生きることをよろこんでいる!

 カゲロウの一生は一日で、わたしの一日はこれからもずっと続く。でも「この時間」は今しかないのだから、傲慢かもしれないけれど、気持ちはカゲロウといっしょなのだ。
 「さいこうのいちにち」――まるで子どものように、毎日そんな風に感じられたらいい。実際、この秋はずっとそんな日が続いている。去年のあのネガティブな心模様は、いったい何だったのだろう。

そして、さいごにいのる、「いとしい子たち、
あすからの日々が、わたしのきょうのように
しあわせでありますように!」

 カゲロウが最期に残したこの祈りを、わたしもすべての子どもたちにささげたい。
 儚いカゲロウの一生を明るく美しく描いた詩の絵本。前半に体言止めが多く、よろこびに満ちた風景を切り取りレンズにおさめたかのような印象。雰囲気はちょっぴり一昔前のサンリオ・ギフトブックを想起させる。(asukab)
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さいこうのいちにち (児童図書館・絵本の部屋)

さいこうのいちにち (児童図書館・絵本の部屋)