One Boy 窓からのぞく向こうの世界

 シーガーの最新しかけ絵本One Boy』を堪能。穴あきの向こうに見える対象物がページをめくると詩の一節となり、異なる印象で登場する。たとえば、タイトルの"ONE BOY"が次ページでは"ALL ALONE"と続く。"TWO SEALS"は、次ページに"AT THE SEA"。前ページの単語に隠れている文字の並びを用い、穴あきの窓を通して、まったく新しいイメージを創造してしまうのだ。
 数の絵本でもあるので、子どもは数字とイメージ変化の世界を行ったり来たりしながら楽しむことになる。子どもでなくとも、大人だって。いつもながら、賢く思考されているなあ……と。

ONE BOY ALL ALONE
TWO SEALS AT THE SEA
THREE APES BIG ESCAPE...

 これは日本語でも遊べそうか。たとえば、「かめれおん」だったら次ページで「かめ」が出てきたり、「やまあらし」だったら「やま」か「あらし」。しかし、詩的表現に仕立て上げるのは至難の業。うーん、長い単語でないとむずかしくもあり、その点アルファベットのほうが適しているのかもしれない。
 シーガー*1,*2,*3,*4の言葉あそび、絵あそびは単純の妙味が特長で、いつページを開いてもはっとさせられる発見がある。(asukab)
amazon:Laura Vaccaro Seeger

One Boy

One Boy