パンプキン・ムーンシャイン

 『パンプキン・ムーンシャイン (ターシャ・テューダークラシックコレクション)』に描かれるのは、小さな女の子シルヴィー・アンのハロウィーン。丘の畑で大きなかぼちゃを見つけ、家に持ち帰るまでの物語が描かれます。
 まるまると太ったかぼちゃを見つけたはいいけれど、小さな子どもには重すぎて苦労するのは今も昔も同じことでした。シルヴィーちゃんはよいしょと転がして運びましたが、何しろ畑は丘の上。坂にさしかかったところで、かぼちゃはひとりでにごろごろと転がりはじめ……、ストーリーを盛り立てます。
 1938年に出版されたターシャ・チューダーのデビュー作。シルヴィーちゃんは、作者自身のことでしょうか。23歳の視線とは思えぬ温もりにあふれた描写で――まるで、おばあちゃんが語っているかのような、すべてをお見通しのテンポです――、敬意を表するしかありませんでした。自分の23歳を振り返ると、穴に入りたくなるばかり。
 パンプキン・ムーンシャインとは、かぼちゃちょうちん(ジャック・オ・ランタン)のことだそう。火を灯せばたしかに、お月さまがオレンジ色に揺れはじめます。
 今年も無事、ハロウィンが終了。娘は、あおいとり。息子は、ミスター・ビーン。お菓子に囲まれ、それぞれ思い出に残る一日となったようです。(asukab)
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