The Day Leo Said I Hate You 「ヘイト」の意味

 『The Day Leo Said I Hate You!』は、読者対象を選んで読むべき絵本だろう。さいわいにも絵本の中のきかん坊レオは「ヘイト」がどのような意味を持つ強い表現なのかを知っていたので、お母さんに向かって暴言を吐いた後、ことの成り行きは終結に向かう。
 これがもし「ヘイト」も何もお構いなし、自分さえ都合がよければ何でもよしという、ものごとの分別をわきまえない子どもだったなら……。想像するだけで寒気がする。実際、今小学校で毎日顔を合わせる子どもたちには、哀しいかな基本的な生活の知恵も何も授けられず、ほぼ人間性を無視される家庭環境で育った生徒が多く、要するに、わたしは即座に彼らのことを思い出しながらページをめくっていた。 
 作中のレオの悪戯は――トマトを転がして床を汚す、インゲン豆を水槽に落とす、机の上で踊り出す、トイレの中に歯磨きチューブをしぼり出す――子どもらしい行動と思う人もいるかもしれないけれど、わたしには少々、過激に映る。ここまで何度も繰り返しお母さんに「ノー!」と注意され、最後にはかんしゃくを起こしてお母さんの部屋の壁にクレヨンで落書きを始める。こうしてさらに怒られた後、感情を爆発させて"I HATE YOU!"の一言。
 読者は「やっていいこと」と「いけないこと」をしっかりわきまえている子どもたちに限る。少なくとも個人的にそうしたほうがいいと思わずにはいられなかった。
 やり放題の子どもを描くのもいいけれど、わたしは共感を覚えない。万人を対象に描かれた絵本ではないと感じるので。娘も「この絵本、好きじゃない」と言っていた。(asukab)
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The Day Leo Said I Hate You!

The Day Leo Said I Hate You!