Little Panda レトロな赤茶色とコロコロパンダ

 『Little Panda』は変てこに渋い絵本だった。表紙からして「1950年初版」と言われたら信じてしまうような色使い。日焼けしたようにも見えるあせた赤茶を背景に、中国パンダのお話ということで、縦書きでレトロな雰囲気漂うレタリングが並んでいる。
 「空とぶトラのことを しってるかな?」おじいちゃんからそう聞かれた孫パンダは「そんなことありっこない。トラはそらをとべないよ」――。するとおじいちゃんは、「話も聞かないで、どうしてわかるっていうんだろうね」と切り返し、突拍子もない結末のストーリーを語り始めるのである。
 つまり絵本は、作中話。おかあさんパンダのリンリンから立派なパンダに育つよう訓練を受ける子パンダ バオバオの成長が描かれる。
 かわいらしいけれど、最後が変わっている。唐突に空飛ぶトラが出てくるのだから。含蓄に富むおじいちゃんの言葉ということで、成り立っちゃうわけ?
 鉛筆でやわらかく描かれるコロコロ子パンダの姿が、一番の魅力だろうか。作者は無二のパンダ好きで、この絵本を創作したということだった。
amazon:Renata Liwska

Little Panda

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