Posy こねこのポージー 

 こねこのシマ猫を描く『Posy』は、もちろんイラストも十分に魅力的なのだけれど、それ以上に言葉のイメージが可愛らしい。韻を踏んだリズムと合わせ、言葉だけで十分にこねこと遊べる詩の世界が広がっていく。メンタル・イメージの威力、ここにあり。
 メンタル・イメージといえば、昨日の小3算数。三角形の種類を学ぶ授業で出てきた用語は、正三角形"equilateral triangles"、二等辺三角形"isosceles triangles"、不等辺三角形"scalene triangles"、直角三角形"right triangles"の4つ。特に、isoscelesとscaleneは子どもにとりイメージがすぐに浮かばないので早くから用語に触れる必要があると主人が言っていた。語源がギリシャ語とのことで調べてみると、辞書にはギリシャ語から派生したラテン語というくくりでisoscelesの"iso"は、"equal"、"skelos"は"leg"の意味。scaleneの"skalenos"は"uneven"の意味だった。
 漢字表現だと用語を目に入れるだけで直に意味の説明となるのに比べ、アルファベッドではギリシャ語について解説がついても下地の知識(スキーマ)がなければ、ぱっとイメージが浮かばず覚えにくい。まあ、漢字も低学年から学んでいるから意味がわかるのだけれど。自分が漢字学習者だという事実を抜きにしても、主人曰く「漢字のほうが視覚にうったえるから単語を覚えやすいよ」とのことなので、象形文字の有用性が証明されるわけだ。
 言葉のメンタル・イメージ――うちのような社会の底辺で生きる子どもたちが通う小学校では、ここを学習の一番の押えどころにして「読み書きそろばん」に励んでいる。しかしながら、就学以前の生活体験が乏しいため非常に基本的な言葉のイメージでさえ、特に算数の文章題で、なかなかつかんでもらえなかったりするのだけど。教師たちの苦悩は続く。
 ポージーの絵本、好きな人は好きな「絵」だと思う。水彩、ペンの色付けが細線の間に埋まり、抽象画の模様を見ているような気持ちに浸った。英国の絵本。
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Posy

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