Seabiscuit the Wonder Horse アンダードッグが人々を熱狂させたお話

 1930年代初頭の米国。大恐慌のあおりで暮らしがどん底にあった一方で、人々に明るい話題を振りまいた競走馬シービスケット。『Seabiscuit the Wonder Horse』は、弱小な気まぐれ馬を最強にまで育てた影の人々を紹介し、1938年11月1日に行われた大本命ワー・アドミラルとのレースを物語る。米国中を熱狂させ、ルーズベルト大統領まで観客席に姿を見せたという史実を知り、暗い時代には世を問わずスターの存在が求められるのかと感じた次第。
 巻末に詳細な歴史背景の解説がつく。まったく見込みのなさそうな馬を買い、人とほとんど口を利かない変わり者の調教師を雇ったオーナーの慧眼に感心した。
 トカンとした目とニカッと見せる歯が息子の心をつかんだのか、表紙を見るなり「あ、かわいいー」ともらして、即座にシービスケットのイラストをまねて描いてくれた。代数の宿題の合い間に。確かに、歴史ノンフィクション絵本にしては珍しい、コミカルな雰囲気が漂っている。
amazon:Meghan McCarthy

Seabiscuit the Wonder Horse

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