Birds ケビン・ヘンキースの新しい絵本

 最新作は『Birds』。画風が違うと思ったら、奥さんが絵を担当していた。太い黒の輪郭線を生かしながら厚く塗りこむスタイルは、けっこう好みかもしれない。
 絵本は、たくさんの鳥の姿を紹介する。黄色い鳥、青い鳥、茶色の鳥、赤い鳥、緑の鳥。大きさも背高のっぽのフラミンゴから、人差し指ぐらいのハチドリまで。いろいろな色、サイズの鳥がいて、彼らの存在から日々抱く色とりどりの想いが並べられる――。
 徒然に心象風景をつづる詩的な視点が新鮮で、まっしろな心のつぶやきを耳元でやさしくささやいてもらっているかのようだ。もし、鳥の飛んだ軌跡が色とりどりに空に残るのなら、どんな風景なのだろう……とか、おもしろい。雪の一日、一枚の葉のように木にとまる真っ赤なカージナルの小景は、わたしも魅せられる。
 小さな子どもの発露は、大人の意表を突く切り口が多く、はっとさせられることが多い。これはきっと、まだ知恵のつく以前、体中に受け入れたすべてを素直に発した証拠だった。知識を吸い上げ早く大人になろうとこましゃくれてくると、やわらかな心は少しずつ硬くなり、感覚が分厚く鈍くなってくる。
 最後に、一人称の語りは少女の声と明かされる。さわやかに、春の戸外に誘う語りだった。
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