You Never Heard of Sandy Koufax?! 米球史を代表する左腕LAドジャーズ、サンディー・コーファックスの伝記絵本

　『You Never Heard of Sandy Koufax?!』は、伝説の名投手、LAドジャーズのサンディー・コーファックスを描いた伝記絵本。しかし、単なるスポーツ伝記ものと思ったら、大間違いである。本書をぴか一のスポーツ・ノンフィクションたらしめている理由は、むちゃくちゃかっこいいアートと野球ファン風の語り口調にあるだろう。コーファックス黄金期の熱血漢もかっこよかったけれど、いやあ、とにかく絵本も本人の超一級の快投ぶりに輪をかけてかっこいい。　
　コーファックスは少年期から運動神経に長け、大学はバスケットボールの奨学金で進学した。しかし、野球もバスケットボールに劣らず抜きん出ており、ドジャーズにスカウトされて1954年にMLB入り。駆け出しの頃は豪球のコントロール不足に泣いたが、その後カーブ、チェンジアップを覚えて開花した。1961年から66年にかけての6年間に無敵の投手としてMLBを湧かせ、頂点で輝いていた31歳のときに左腕故障の限界を知り引退を決意する。短い期間に燃え尽きたユダヤ人野球青年のエピソードは数多く知られているが、それぞれの逸話を巧みに一冊にまとめ上げ、いても立ってもいられないほどの豪華本が生まれた、ってかなりラッキーなことではないか。ところどころに記録の数字も紹介されていて、MLBファンが感涙にむせびそうだ。
　表紙にはホログラフィック加工（初版のみかもしれない）が施され、コーファックスの投球モーションが角度を変えて楽しめる。単純にかっこいい。本文中の、身長188センチのすらりとした体型が、ところどころ使用される金色のインクに映えて、やはり、かっこいい。顔の表情もうまくデザイン化されていて、特徴がよく出ている。娘が「ベースボールカード、集めたい」と言い出した。コーファックスのカードなんて、超高額。うちではとても買えないよーと話しておいた。あきらめてくれるといいけれど。
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You Never Heard of Sandy Koufax?!