Princess Hyacinth 気球に乗った男の子の話題に便乗して

 コロラド州で起きた気球騒動。ウェブで銀色の円盤形ヘリウム気球を目にしてから"Princess Hyacinth (The Surprising Tale of a Girl Who Floated)"を読んだので、空を飛ぶ感覚がぐぐーんと現実味を帯びて感じられた。
 「宙に浮く」という普通でない苦難を抱えるヒヤシンス姫のお話。いやあ、おもしろかった。王さまと王妃さまは娘が空に飛んでいってしまわないように重量級の冠と上着を身につけさせ問題を解決していたけれど、これじゃあ監獄に入った囚人と同じじゃないの。ふわふわふわと姫が宙に浮く唯一のときは、重たい衣類をつけずに眠り迎える朝だったりする。
 それにしても、重りに束縛される日々の辛いことといったらない。外で走り回る子どもたちといっしょに遊びたいなあとうらやむヒヤシンス姫。そんなある日、風船屋さんにお願いして、とうとう夢をかなえるときがやってきた……。
 突拍子もないストーリーのアイデア+設定。加えて、そこに構成デザインや色合いを含めたイラストの雰囲気がぴたりと重なり、かなり完成度の高い作品に仕上がっている。終わり方も好き。語りなれた人の文章だと感じた。
 しかしながら冒頭で言及した気球騒動は、とんでもない方向に発展している模様。こちらはフィクションではなくてノンフィクションだから、夢見心地のままではいられない。
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Princess Hyacinth (The Surprising Tale of a Girl Who Floated)

Princess Hyacinth (The Surprising Tale of a Girl Who Floated)