The Circus Ship ご当地絵本で歴史をひも解く『サーカス・シップ』

 1836年10月29日、メイン州ポートランドに向かうロイヤル・タール号が遭難。乗員103名に混じって、サーカス団の動物たちも海に投げ出されてしまった。記録によると、ゾウ1頭、ライオン2匹、トラ、レオパード、馬6頭、ラクダ2頭、ヌー、ペリカン2羽、大蛇と鳥の一群……という。近隣の島にはその後、生き延びたと思われる珍しい南国の動物たちが見られたそうで、悲劇は北国の語り草として伝えられてきた。
 作者は史実に沿って絵本"The Circus Ship"を描いたわけではない。動物たちの表情をコミカルに描写し、ユーモアを交えてロイヤル・タール号の運命を振り返ってみた。何しろケイト・ディカミロの「マーシー・ワトソン」シリーズのイラストレーターなので、底抜けに明るいムードがここにもたっぷり流れている。
 こんな風にご当地絵本に仕立てるのも、意味ある働きだなあと思った次第。
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The Circus Ship

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