Dog Biscuit いぬビスケットをたべちゃった!

 "Dog Biscuit"は、犬の大好きな子どもたちに贈りたい絵本です。文句なしにかわいい。純真な子ども心を丁寧に描写すると、こういう魔法がかったファンタジーになるのですね。
 納屋で犬用のビスケットを目にしたブリジットは、何の気なしにそれを食べてしまいます。「しょっぱいのと、あまいのがいっしょのあじ! おいしい」。ところが、ブレアおばさんに見つかって「そのうち、いぬになっちゃうわね」と脅かされました。食べたことを後悔して「ママにはないしょにしておいて」とお願いしたものの、ブリジットは気が気ではありません。本当に犬になってしまうのではないかという心配が、空想と現実の間を行き来して、ファンタジーの妙味をかもし始めます。
 夢の中に西洋風のドッグ・ワールドが現れ、このあたり、日本のほのぼの和やかな犬的感覚から少し離れているでしょう。しかし、ここは夢物語を最高潮に盛り上げる華やかな場面。巨大なミートパイ、ソーセージの雨、ミルクシェイクの噴水が登場するなど子どもたちがため息をもらしながらページをめくるに違いなく、もっとも人気を博しそうな箇所です。
 ブリジットは3歳ぐらいの小さな女の子です。幼い彼女の思い描くシーンがユーモアいっぱいで、純度の高い気持ちに浸る心地よさを味わいました。幼子の心象と触れ合うよろこびがたっぷり詰っています。英国の絵本。
amazon:Helen Cooper

Dog Biscuit

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