忙しくて気がつくと図書館の貸し出し期限切れ……などなど

　なんと貸し出し期限が2週間も過ぎていて、冊数も多かったものだから、ここにきて非常に痛い42ドルの課徴金。気がついた昨日はかなりショックだったのだけれど、1日たったら少し気持ちが落ち着いた。今まで規制が緩く甘えていた部分があったので、公立図書館への寄付と考えると納得の金額かな。今秋から規則が厳しくなり、本来の公立図書館とはこういうものだと教えられた。早急に支払わないとさらに12ドル追加とのことなので、早速足を運ばなければ。こうやってお尻をたたいてもらわないとダメな人間なのですね。
　話題を変えて、最近の雑感を。
　21世紀が始まり最初の10年を迎えようとする今、小学校の読み書き教育はワークショップ形式が主流になりつつある。わたしが渡米した頃は、センター活動中心のホールランゲージが花盛りだった。しかしホールランゲージはあっという間に姿を消して、現在は確実に基礎力定着を目的とするワークショップ形式。私立や富裕層域の公立ではいまだにトラディショナルな一斉教育が可能だけれど、多様化の進む貧しい都市部の小学校では、少人数グループに分かれたレベル別あるいは個別の指導をしないと効果が見られないのである。
　ワークショップ形式では最初に5分ぐらい（長くても10分以内）のミニレッスンがあり、教師がその日に修得したいスキルを紹介する。時間が限られるので、レッスンに使われる教材は圧倒的に絵本や初級読本が多い。それも全部読むのではなく、一部だけ。上手な教師ほど簡潔にポイントをつかみながらあっさり作中のモデルを見せ、子どもたちは教えてもらったスキルを参考にしながらすぐに読書あるいは作文の時間に入る。その間、教師はレベル別、スキル別のグループ、あるいは個別の指導に励む。
　ここのところ身も心も奪われている「デイリー5」と「カフェブック」は、シアトル南部フェデラルウェイ学校区で教える熟練姉妹教師の執筆による。教育現場を真摯に見つめ、「シンプルに、柔軟に、現実的に」読み書き指導を実践する現代の最先端を行くリタラシー教育プログラムを提唱する。うちの学校区は巨額の費用を投入して米国教育界の総本山コロンビア大学教育学部のプログラムを導入しているのだが、とんでもない無駄遣いだと感じた。近隣に全米、全世界で大絶賛されている指導者たちが存在するというのに、ブランド名に目がくらみニューヨークまで短期講習を受けに行くなど、盲目になっているとしか形容のしようがない。
　その証拠として、学校区の中でもショーケースとなり率先して取り入れた本校のガイデッド・リーディングとライターズ・ワークショップの産物はどうか。今年の2・3年生のリーディング、ライティングの実力を見れば、内容がまったく伴っていないことは一目瞭然だ。子どもたちはみな自分がずば抜けて優れた読書家、作文家だと勘違いをして、おめでたい気分を味わっている。レベルの高い本をすらすら音読するが、読解がまったくできない状況なのだ。中学年に入り理解力の壁に突き当たる子どもたちは毎年ぱらぱらと存在するけれど、今年はその数の多さが異常。しかもみな、なかなかその悪習慣を変えようとしないから性質が悪い。（作文では句読点法が完璧に軽視されている。）
　これは原罪。早期に読解不能な本（チャプターブック）を紹介し、自己満足の読書家をたくさん生み出してしまった経験未熟な新人教師たちの深い罪である。一度レベルの高いチャプターブックを手にすると、子どもたちはなかなか自分のレベルに合った本を読もうとしない。主人はこれをドラッグの使用に例えていた。一度ファッションとして興奮の味をしめると、まわりから指導されてもなかなか離れられないのである。
　読書に優れた生徒は自分のレベルに合った本を読み、理解を深め、人間性を養っている事実はリサーチが証明している。主人は今年、犠牲者となった子どもたちの読解指導に四苦八苦しているのだった。傍から見ていても気の毒なので、できるだけ教室内の環境を整え協力したいと思った。
　……でも実はスキーマ・クイーンら、エゴイスティックで大人げのない新人教師たちをぎゃふんと言わせたい！というのが本音。特にスキーマ・クイーンは、自分の生徒がハイレベルな本を読めば、中身は空っぽで表面だけにもかかわらず、それが自分の実力だととんでもない思い違いをしている。ミスガイデッド・リーディング・プログラムを率先して、学校に悪癖を振りまいていることがまったく見えていない。
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The Daily Five: Fostering Literacy Independence in the Elementary Grades

The Cafe Book: Engaging All Students in Daily Literary Assessment & Instruction