Auggie Wren's Christmas Story 「いいお話だった、おばあちゃんのところが」
日曜礼拝から戻り"Auggie Wren's Christmas Story"を読んで、ぐしゅぐしゅ、ぼろぼろ。息子にも読んでもらわなくちゃと勧めたところ、珍しく嫌がらず読み「いいお話だった、おばあちゃんのところが」と感想を述べてくれた。
カメラ、落し物の財布、盲目の老婆、クリスマス・ディナー――。1990年のニューヨーク・タイムズ紙、クリスマス朝刊に掲載されたオースターのクリスマス・ストーリーは、ニューヨークの片隅にひっそりと息づく人々のふれあいを描く。
作者はクリスマス用の執筆依頼を受け入れた後、自分に「非偽善的なクリスマスストーリー」など書けやしないとしばらく苦悩した。そんな中、いつも立ち寄るタバコ屋の店員オーギー・レン(仮名)から正真正銘とびっきりのクリスマス・ストーリーを昼食と引き換えに語ってもらうことになる。
作品成立の背景もおもしろいし、オーギーの語ったお話もぬくもりにあふれている。いいお話、ほんとうにすてきなお話だ。
調べてみると、なんと『翻訳夜話 (文春新書)』に村上訳、柴田訳が掲載されており、息子が読んでいる間、今度は邦訳で至福のひとときを過ごさせてもらった。この新書、前半のフォーラム部分しか目を通していなかった。でも、今冬このタイミングでオースターのクリスマス物語に出会え、同時に日本語で味わえたことのほうにこそ感謝したい。
そういえば、クリスマスイブの夜、冬眠しそびれたクマが目の悪いおばあさんを訪ねるという絵本『クリスマスイブのきゃく』があるのだけれど、源はオースターなのかもしれないと思った。
新版は、赤い表紙が高貴なこちら"Auggie Wren's Christmas Story"。贈り物にぴったりの手のひらサイズ。
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