こどものピアノ曲

 絵本ではないのだけれど。『こどものピアノ曲 (中田喜直 作曲)』という子どものためのピアノ曲集がお気に入り。出版は半世紀前の1956年で、収録は全17作品。
 「みじかいおはなし」とか「時計のはぐるま」とか。曲想は短調が多く、日本の童謡、童話につながる抒情がほろりと表れている。昭和の子どもたちの遊びが伝わってくるような。「土人のおどり」という時代性を感じさせる題名があり、ちょっぴりどきりとしたけれど。
 全体的に、この頃の大人たちの子どもを見つめるまなざしがそのまま投影されている。今、こういう創作は出てこないだろう。音楽も、お話も。
 弾くたびに童話の世界に引き込まれるようで、いつか記しておこうと思っていた。書影がなくて残念だけれど、切り紙のような表紙のアートもノスタルジック。
amazon:中田喜直