ミドルメディアとしての絵本

ミドルメディアの時代 (内田樹の研究室) ミドルメディアの時代 (内田樹の研究室)
 ここで言うミドルメディアとはインターネットのことなのだが、自分なりにこれからのメディアとしての絵本を位置づけてみたい。
 コンテンツ(言葉、お話、絵画)-コンテナ(絵本という媒体)-コンベア(児童書店)――これって、理想的なミドルメディアとしての絵本を支える構図だと思うのだ。内田先生の仰られる「小商い」にもぴたりと当てはまるし、情報は「商品」でなくて「贈与」。言ってしまえばこれこそ「子どものための書物」を世に送り出す原点だったと思う。つまり子どもの本に関して言えば、今またその原点に戻るときが来たということなのだ。マス・マーケットで利潤を求めるのではなく、子どもひとりひとりの姿を思い描きながら上質のお話を世に贈るという働き。これこそ子どもの本、絵本、童話の使命である。
 「小商い」とは少々極端な言い方かもしれないが……、図書館購入に頼る米国児童書・絵本にあっても「いい本」というのは毎年それほど多く存在しないのに、規模の小さな日本でどうしてそんなに多くの書籍出版をしなくてはならないのか……という疑問があったから。

ミドルメディアは本質的に「反資本主義的」なものたらざるを得ないだろう……

 絵本は、量より質。よって、「反資本主義的」は納得のご指摘だった。だから、絵本の出版はテレビや新聞のように時代の潮流に乗って消えてはいかない。これまでもそうだったし、これからもそう。ミドルメディアとしての位置づけを正しく理解さえしていれば。

2011年新聞・テレビ消滅 (文春新書)

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