聖母マリアの讃歌

 水曜日の晩祷は、忘れられないひとときになると思う。娘たちのクワイヤ・ディレクターが作曲した「聖母マリアの讃歌」"The Song of Mary Magnificat in the Mixolydian Mode"が初演されたのだ。合唱曲。天使の歌声が響き、厳かで清らかで、すばらしかった。
 そして今夜、彼が6月いっぱいで現職を去ることを聞かされた。教会の財政難で、ポジションカットが実行されるのである。ショック。昨年博士号を取得したので、いずれは他の教会で本格的に音楽ディレクター職に就くのかもしれないとも思っていたけれど。とにかく、大ショック!
 娘もわたしも彼の伝統的なスタイルが大好きである。子どもなので教会音楽は理解できないだろう……というような妥協の姿勢はいっさいなし。純粋な子どもたちだからこそほんものの教会音楽を伝えたい……という気高い姿勢が好きなのだ。よって、選曲は高貴で古典的な調べが多い。そして、娘たちもそこに魅せられている。少年時代からナショナル・カテドラルで歌い続けた経験が、彼女たちにも見えないところで伝わっているのだと思う。わたしが時間にこだわる理由は、時間が本物を生み出しているからである。
 3年間、娘を指導してもらい、ほんとうに幸せだった。でも、3年では短すぎる。6月までまだ半年あるとは言え、夏が暗く遠く見える。