Back of the Bus 少年の目から見たバスボイコット

 "Back of the Bus"はロザ・パークスのバスボイコットを、少年の目を通して描く絵本である。1955年12月1日、アラバマ州モンゴメリー。夕暮れどき、バスの騒音、運転手の声、ざわめき――歴史的瞬間を描くというよりも、その日、そのバスにどのような時間が流れていたかを伝えている。
 転がるビー玉のことで母親に注意されながら、少年はバス最後部の座席であの瞬間を体験する。座席立ち退きを促す強い声を耳にし、睨みのきいた鋭い視線を感じたとき「ぼくたち何か悪いことしたの?」と彼は母親に問いかけた。「何も心配しないの」「明日になれば、みんな忘れることだから」――。でも、誰も忘れなかった。ここから公民権運動のうねりが生まれたのだから。
 油性で描かれるイラストは写実的でありながら叙情的であり、歴史を変えたできごとを凛と美しく、そして的確に描写する。
 バスボイコット絵本の名作がまたひとつ誕生。読者である子どもたち自身が、深く共感できる内容だ。
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Back of the Bus

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